私達がトカゲについて知っている知識といえば、外敵に襲われたときに尻尾を切り離し、それを利用して逃げるということが挙げられると思います。
しかし、尻尾は再生するとしても、もし腕や足が傷ついたり、外敵に食べられて切断され状態になってしまった場合、どうなるのでしょうか?
今回はトカゲの再生能力について、再生にはどのくらいの日数がかかるのか、腕や足もきちんと再生するのか、について説明していきます。
トカゲの腕と足の再生能力について
まず最初に、トカゲの腕や足の再生能力は尻尾の再生能力とは異なるものであるということに注意しなければなりません。
トカゲの尻尾は自分の意思で切り離すことが出来るうえ、出血なども伴わないため、他の体のパーツとは違って綺麗に再生することが可能です。
もちろん個体差はありますが、一般的なサイズのトカゲだと1か月程度で尻尾が完全に再生されると言われています。
尻尾に比べるとトカゲの腕や足は自分の意思で切り離すことは出来ませんし、傷ついたりすれば細胞や骨が損傷し、出血します。
多少の傷なら自己治癒能力で回復する可能性もありますが、尻尾と比べると完全な回復に至るまで半年ほどかかってしまいます。
さらに腕や足の傷は病原菌の入り口となってしまいますので、野生のトカゲにとっては少しの傷でも命の危険につながってしまいます。
だからこそ、トカゲは自分の尻尾を犠牲にしてでも、他の体のパーツへのダメージを防がなければいけないのです。
尻尾が切断できないトカゲ
実は全ての種類のトカゲが尻尾を切断できるわけではないということをご存知でしたか?
例えばヒョウモントカゲモドキと呼ばれる種類では、尻尾に栄養をためておく機能があるため、尻尾を切断してしまうと体全体に栄養が行きわたらなくなり、衰弱死してしまう恐れがあります。
なので外敵に襲われた場合、尻尾をおとりに使うことが出来なくなるため、他のトカゲに比べると野生化での生存率が大幅に下がってしまうということです。
それをカバーする役目として、ヒョウモントカゲモドキは黄色をベースとした表皮に黒い斑点を打ったような、派手なカラーリングが施されています。
この黄色と黒という組み合わせは自然界においては「毒がある」という警告のサインであり、スズメバチやヤドクガエルなどもこのような色の組み合わせをしています。
こうして、尻尾をおとりにできないというデメリットをほかの部分で補おうとしているのです。
まとめ
○トカゲの腕や足は尻尾と違い、切断されるともとには戻らない
○トカゲの腕や足は小さい傷でも完全再生まで約半年はかかる
○尻尾を切断できないタイプのトカゲも存在する
今回ご紹介した通り、トカゲは尻尾の再生機能が突出しているだけで、腕や足についての再生機能は他の動物の自然治癒量とそんなに変わりがありません。
トカゲは小さい傷から感染症を起こしたり、脱皮不全を起こす可能性があるため、尻尾を犠牲にしてでも自分自身が敵から逃げられるように進化を遂げた可能性も高いのではないでしょうか。